1. HOME
  2. ブログ
  3. 恋の菅笠(こいのすげがさ)

恋の菅笠(こいのすげがさ)

小川清子作詞  大和久満作曲

(二上り)

コーラス

松並木続く 近江(おうみ)路(じ) 程近(ちこ)う 茜を初めし夕映えの 

照りて明るき刈田圃 案山子(かかし)しょんぼり 破れ菅笠

いたずら盛り里の子が 鳴子(なるこ)一つを引き合(お)うて 

何うなずいて 語るやら

向こう通るは清十郎じゃないか 笠がよう似た菅笠が

散るは紅葉(もみじ)葉(ば) 真っ赤いな さても見事に 真っ赤いな

いとし清十郎の あの菅笠に 付けてあげたら 

ほんに ほんまに 美しかろうに 

笠に思いを引かるるならば

さあさ 踊ろうよ あの笠踊り

(三下り)

清十郎殺さば お夏も殺せ 生きて思いをさしょよりも

思いを生きて 生きて思いをさしょよりも

いとし愛しの清(せい)さまに 命もかけた身じゃ物を

そさま おじゃらぬ この世なら わたしゃどうして

生きらりょうか 乱れ乱れる 狂い蝶

また一しきり さわさわと 枯枝ゆすり 吹く風に

迷い烏(がらす)が唯(ただ)一羽 空をよぎりて アア

【解説】

小川清子・作詞 大和久満・作曲による昭和62年の作品。

『お夏清十郎』の大和楽版であります。内容は、姫路にある但馬屋(たじまや)の大店の娘、お夏が手代の清十郎と身分違いの駆け落ちをしたが捕らえられ、清十郎は処刑、お夏は狂乱となり近江路あたりの松並木続く街道をさまよい歩き、清十郎が恋しい恋しいと狂い乱れる。というお話です。

『清十郎殺さばお夏も殺せ』『向こう通るは清十郎じゃないか、笠がよう似た菅笠が』など、実在した2人の悲恋は当時はやり歌にうたわれ、坪内逍遥作詞の舞踊曲、常磐津『お夏狂乱』や井原西鶴の小説『好色五人女』など、この事件を題材にした作品が多くあります。