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 須磨の敦盛

【初演】平成3年
■作詞:駒井義之   ■作曲:大和久満

(本調子)

一葉の 舟は浮き寝の波枕 暫しの宿や 須磨の浜

源家(げんけ)を迎える出陣前夜 小枝蝉折(さえだせみおり)青葉の笛に

雲居の月ぞ 恋しきと 一節を唄い 遊びけん

一門破れ 兵船(ひょうせん)はるかや 須磨の沖

一鞭連戦(ひとむちれんせん)葦毛の馬に 身を託す

花の敦盛 十七歳

良き大将 逃ぐるとは 熊谷次郎の招きに帰る 波打際

太刀打ちの 一合二合 馬より落ちて 一刺しに

討たんとすれど 我が子に似たる 面影に

強者(つわもの)にぶる 太刀の先

味方は多し 助くるすべもなき 眼(まなこ)を闇に 涙溢るる

鬼手仏心(きしゅぶっしん)の 刃一閃(やいばいっせん)

あわれ あわれと 青葉の笛の 調べもかすか 磯の波

【解説】

駒井義之・作詞 大和久満・作曲のこの作品は平成3年、兵庫県舞踊文化協会「名流舞踊の会」四十回記念特別公演のために作られた作品で「兵庫旅情」の中の一曲である。

初演時は「一の谷の敦盛」とされ、「兵庫旅情」第二部「源平太平の武者」の第五景で、花柳芳圭次(敦盛)・花柳五三輔(熊谷次郎)が演じました。

歌舞伎「一谷嫩軍記」でも有名な「平家物語」の名場面を舞踊化にしたものです。

熊谷次郎は、自分の息子と同い年(十七才)の平敦盛を打ちかねますが、他の源氏の武者も迫っており、逃れることはできないと泣く泣く敦盛を討ちとります。(その後、熊谷は世の無常を悟り、出家するのです。)

大和楽では珍しい武将の力強さと雅さを兼ね備えた作品となっている。