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藤むらさき

【初演】昭和53年
■作詞:仁村美津夫   ■作曲:大和久満 ■筝手付:初代米川敏子

【歌詞】

(二上り)

美しき 紫雲たなびく 朝ぼらけ

そよ風立てば 藤浪は

豊かに揺れて 芳しき匂ひを放ち

その香を慕い 胡蝶も群れて

ひいらり ひらひら ひいらり ひらひら 舞い遊ぶ

(三下り)

藤の音頭に 心がはずみ

踊る姿も たをやかに 

手振り 優しき 舞衣

藤むらさきの花は ゆかしく 

藤むらさきの花は めでたき

【解説】

長唄の名曲として有名な「藤娘」という曲は、大津絵の、塗傘をかぶった娘が藤の花の枝をかついだ絵から題材をとり、それを歌舞伎舞踊にした曲でありますが、この「藤むらさき」はその「藤娘」の大和楽バージョンというべき曲であります。

仁村美津夫作詞、大和久満作曲、初代米川敏子筝手付で昭和53年に発表されました。

美しい藤の花房が、豊かに揺れる藤棚の情景が詠まれており、藤の花と、その花に戯れ遊ぶ胡蝶の舞う姿は、絢爛可憐な娘踊りとして大和楽の中でも大変人気の高い作品であります。

大和楽らしい華やかで優艶な作品として、聴いているだけで華やいだ気分になります。

作詞の仁村美津夫は、長きにわたり日本経済新聞上に舞踊評論の筆を執り、舞踊曲の作詞も数多く、舞踊評論の耆宿である。