萩と月
【初演】昭和28年
■作詞:立石隆一 ■作曲:岸上きみ
〽かりがねに 月も昔を思うらん
浮世がたりに 細りゆく
秋のともし火 いとわびて
落つる涙の 夜もすがら
軒端にすだく 虫の音を
時雨とまごう 八重むぐら
身にしみじみと 鐘の声
〽一つ家に 遊女も寝たり 萩と月
【解説】
昭和二十八年、第四回浅茅会の「風流花暦抄」第九景「萩」として演奏されました。
三下りの小曲で、秋の一片の情緒を、萩と月をテーマにした作品であります。「かりがねに」の唄い出しの澄んだ高音は、聞きどころのひとつでもある。