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二日月夜

【初演】昭和18年
■作詞:薮田義雄   ■作曲:岸上きみ

(二上り)

二日月夜に身も細く 忍び待つ間の 山葵田(わさびだ)よ

ゆるく哀しく 咽(むせ)ぶ夜に 口笛吹いて来るでしょうか

桔梗ちらしの帯しめて 鳴戸(なると)しぼりの着物きて

たまに逢う夜の嬉しさは 水恋鳥(みずこいどり)が知ろうもの

水恋鳥の鳴く夜さは 水の匂いが涼しくて

白い素足がいとしうて 心もそぞろ 気もそぞろ

【解説】

作詞は薮田義雄氏で作曲は岸上きみ氏による昭和十八年八月の作品。

この「二日月夜」は男を待つ女の落ち着かない様子を短い詞の中によく表しています。「口笛吹いて来るでしょうか」といった邦楽には珍しい詞の使い方がされているが、大和楽ならではの洒落た曲となっています。