お祭
【初演】昭和22年
■作詞:北原白秋 ■作曲:岸上きみ
(三下り)
わっしょいわっしょい わっしょいわっしょい
祭りだ祭りだ 背中にゃ花笠 胸には腹掛け
向こう鉢巻 揃いのはっぴで
わっしょい わっしょい
わっしょいわっしょい わっしょいわっしょい
神輿だ神輿だ みこしのおねりだ
山椒は粒でも ぴりっと辛いぞ
これでも勇みの山王の氏子だ
わっしょい
わっしょいわっしょいわっしょいわっしょい
真っ赤だ 真っ赤だ 夕焼け小焼けだ
しっかり担いだ 明日も天気だ
そら揉め 揉め揉め
わっしょいわっしょい わっしょいわっしょい
俺ら(おいら)のみこしだ 死んでも放すな
泣き虫ゃすっ飛べ差し上げて廻した 揉め揉め
わっしょいわっしょいわっしょいわっしょい
廻すぞ廻すぞ 金魚屋も逃げろ
鬼灯屋(ほおずきや)も逃げろ
ぶつかったって知らぬぞ
そら ゆけゆけゆけ わっしょい わっしょい
子供の御輿だ 祭りだ 祭りだ
提灯つけろ 御神燈あげよ
十五夜 お月様 まん丸だ
わっしょい わっしょい わっしょい
あの声何処だ あの笛何だ
あっちも祭りだ こっちも祭りだ
そら揉め揉め揉め
わっしょい わっしょい
わっしょい わっしょい
祭りだ祭りだ 山王の祭りだ
子どもの祭りだ
お月様赤いぞ 御神燈も赤いぞ
わっしょい わっしょい
わっしょい わっしょい わっしょい
【解説】
作詞は日本を代表する詩人である北原白秋で、その軽快な童謡詩を岸上きみ氏が童心にかえって作曲した作品である。
昭和22年12月23日、京都先斗町の歌舞練場に於ける邦楽舞踊研究会の第一回目の発表会の時に初演され、当時の大和楽の代表曲と言われるほど評判になった。
この頃まで、大和楽の唄方はオペラのように立って歌い、伴奏の三味線は椅子に腰かけて演奏されていた。
この「お祭り」は三下りの楽しい曲で、「あっちも祭りだ」「こっちも祭りだ」と、かけ合いで唄ったので「女流かけあい万才」と評された。
曲の内容は、山王祭の賑わいの気分を描写したもので、境内の雑踏と遠くに神輿太鼓・屋台囃子・見世物小屋からのお囃子、こうした音の交錯の中でお祭りの気分が横溢し、やがて十五夜の月が出て御神燈に灯りが入り、祭りが最高潮に達してくる。そして境内を離れて、遠くの祭りの声を聞く中に、祭りの笛の遠音が聞こえてくる・・・といった内容である。