あやめ
【初演】昭和14年
■作詞:長田幹彦 ■作曲:宮川寿朗
【解説】
長田幹彦氏の作詞と当時清元の三味線の名人と呼ばれていた清元栄寿郎(宮川寿朗)氏の作曲で、大和楽といえば【あやめ】が連想され、「あやめで始まりあやめで終わる」といわれるくらい、演奏も難しい大和楽の代表作品である。
前半の二上り部分の透き通るようなきれいなメロディーと「水嵩増して」のただ高い声をはるばかりではなく、ふくらまして唄うところが難しいといわれる。三下りからは音頭の部分であり、乗り地の華やかな展開をみせる。
あやめ、池、青柳、空に流れる雲、といった絵画的な情景と、五月雨に濡れるあやめをモチーフに若き女性の濃紫の哀愁をなやましく描いた素晴らしい作品である。この曲には筝も入り品格を高める効果をあげている。