隅田川

【初演】昭和13年
■作詞:長田幹彦   ■作曲:岸上きみ

行こか 戻ろか 柳かげ

恋の寝鳥は いじらしや

幾夜 寝覚めの 波まくら

川風寒く さす潮の

雪に山谷の 灯も消えて

金龍山の鐘の声

引くおみくじの 大吉に

心せかるゝ 蛇の目傘

【解説】

長田幹彦氏の作詞と岸上きみ氏の作曲による「隅田川」は、舞踊曲として広く好まれる作品で昭和13年2月の作品です。

曲の作られたきっかけは、長田幹彦氏が江戸前の女の姿で踊れる詞を書いてみたので、岸上きみ氏に暇な時に作曲してはと渡されたのが、この作品となった。

内容は、雪の夜に江戸前の女が恋人を訪ねて行く心境を唄ったものだが、作詞者は「これは年増女の恋で、逢いたくて逢いたくて、雪などはものともせず、隅田川辺りを一心に来ると雪の山谷河岸の灯明かりが、一時にパッと消えた。途端に浅草寺の鐘の音が響いて来ると同時に、さっき引いたおみくじが大吉だったのを思い出し、遅くともやっぱり逢いに行こうと前よりやや急ぎ足に雪の中もいとわずに行く女心」を唄っている。

作曲者は、「曲としてのやまは、”雪の山谷の灯もきえて”あたり」と言っていたとの事である。