笹小舟(ささおぶね)
【初演】平成7年
■作詞:吉田香代子 ■作曲:大和久満
我が袖に 春の名残に散る桜
その姿 いと美くしや
アア アア アア
無常の風 吹きすぎて
永遠の別れに 散る花の
冷たき肌に 頬寄せて
いだきしめ いだきしめたる心かな
こよなく愛でし小笹の竹の
葉づれの音も淋しげに
露に濡れてや ひとしずく
じっと胸にいだきし舞扇
水に流せし 笹小舟
くるり くるくる 水の流れに身を任せ
静かに 静かに 遠ざかる
うたかたの 夢の跡ひく夕闇に
慕ひし心 深ければ 心は宙に舞ふ如く
月影にうつりしは 影二つ
笹の葉づれは雅楽の調べ
昇天を空に ひびけと祈りつつ
アア アア アア
【解説】
初演は平成7年7月6日に、二代目花柳輔三朗一周忌追善舞踊会(国立大劇場)に於いて花柳照奈が演じました。
作詞は花柳輔三朗夫人であります。
春のなごりに散りゆく桜を背景に、永遠の別れの無常の心を笹をテーマに詠んだ作品です。
水の流れに身をおく笹の小舟、笹の葉づれの音の寂しさと悠久の雅をひきだした、しっとりとした大和楽です。