四季の花
【初演】昭和45年
■作詞:大和久満 ■作曲:大和久満
(三下り)
(コーラス)
【春】
〽花ならば 春に咲きがけ 咲く花の 香りをめでる 沈丁花
姿優しき 水仙花 うぐいす待ちわぶ 梅の花
〽花ならば 吉野三熊野 桜花 五色ざくらや八重ざくら
しだれ桜や仇ざくら 彼岸桜に紅ざくら
【夏】
〽卯の花匂う 八十八夜 つつじ椿や こぼれ山吹
藤 あじさいは 紫の色香に迷う 百合の花
いづれが あやめ かきつばた
【秋】
〽秋の七草 咲き競う 中にひときわ美しく
咲くや桔梗 おみえなし 風に尾花の ゆらゆらと
誰(たれ)を松虫 鈴虫の
(本調子)(二上り)
〽黄菊 白菊 乱ぎくや 野ぎくの笠や
小笠かざして 踊り風流 かむろ菊
〽長寿を祝う 菊の盃 汲めども尽きじ
飲めども尽きじ 猩々舞を 舞おうよ
【冬】(本調子)
〽花と見まごう 雪の散りしく 白銀の 光りかがやき 野も山も
眺めつきせじ 銀世界
〽色あでやかに咲く 寒ぼたん
【解説】
二代目家元、大和久満・作詞作曲によるこの曲は、昭和四十六年頃、舞踊家の花柳芳五三郎氏のために、当初は長唄の舞踊曲として演奏された作品である。
二部のコーラスから美しく始まるこの曲は、三下り・二上り・本調子と調子を変化させながら、春夏秋冬それぞれの花々を豊かに描き出していく構成となっている。
春の沈丁花・水仙・梅の清らかな気配、桜の華やぎ。夏の卯の花や藤、あじさい、百合の艶やかな色香。秋には七草をはじめ、桔梗や女郎花の可憐な趣、さらに菊に託された品格と祝意。冬には一面の銀世界の中に咲く寒牡丹の鮮やかさが印象的に描かれる。
これら多彩な花の姿を通して、日本の四季の移ろいと美意識が凝縮されており、本曲は花を主題とした大和楽の代表的作品の一つとして、情趣と華麗さに満ちた世界を展開している。
